相変わらず視線を外していると、急に頭の重みが消えた。


あぁ、やっと離してくれた。


が、安心したのも束の間、今度はあたしの顎をその綺麗な指でそっと持ち上げた。


「っ……」


いきなり目の前に理夜くんの顔が現れ、あたしは反射的にまた視線を逸らした。


「さっきからさ、なんで俺の目見ないわけ?」


少しだけ不機嫌な声が聞こえた。


「あ、あの……それは……い、色々ありまして……。」


頑張って声を絞り出したのに、さらに強い声が聞こえる。


「色々ってなんだよ。」


理夜くん、かなり怖いです……。


顔が近いため、微かに触れる理夜くんの息がくすぐったい。