あたしの唇に今まで感じたことのない、柔らかい何かが触れた。


それが理夜くんの唇だとわかるまでそんなに時間はかからなかった。


ますます“?”が増え、さらに口の中に理夜くんの舌が入ってくるのがわかった。


「まっ、なに……っん」


わけがわからないまま頑張って抵抗してみるが、びくともしない。


ああ、やっぱり男の人には勝てないんだ……


少女マンガとかでよくあるけど、あれって本当だったんだ。


なんてのんきに考えているうちに理夜くんの舌の動きは激しさを増す。


暫くして理夜くんの眉毛がぴくっと反応した気がしたがそれが、本当かどうかもわからない。


とろけてしまうようなキスから、理夜くんは何回もしたことあるんだろうなってことがわかる。




やっと唇が離れ、苦しさや恥ずかしさで顔がさっきよりも赤くなっていくのがわかった。


「ハァ……なに、が…」


理夜くんの顔を見てさらに恥ずかしくなり、あたしは一目散にその場を立ち去った。








もちろん、


「初めてだ……俺のキスで逃げてったやつ。」


なんて呟いたことも知らずに。