迷い込んだお姫さま

あたしはゆっくり起き上がりながら、突然の訪問者に感謝した。


すごい、まだドキドキしてる……。


胸に手をあてなくてもそれが十分わかるくらいに。



「なんだよ、勇紀。」


不機嫌な理夜くんの声。


「理夜、全然出てこないんだもん。いないかと思った。」


「だから、なんだよ。」


理夜くんの声がより一層低くなった。


「ごめん、ちょっと忘れ物。」