迷い込んだお姫さま

勇気を出して一歩踏み出してみたものの、芳兼家のリビングには誰もいなかった。


「あれ?お家の方は?」


気になって尋ねてみたけど、理夜くんは


「いないけど?」


なんて平然とした顔で言う。


「“いない”って?」


三谷校長がわざわざ挨拶に行ってくれたらしいのに。


どういうことだろう?


理夜くんに促され、あたしは理夜くんの向かいのイスに座った。