裕子さんは昔から私を気にかけてくれて、今の私の心境にもすぐに気付いてくれたみたい。裕子さんに話してみようかな、と思ったら……


「彼氏に会えないから、それで元気がないのよね?」


すかさずママがそう言った。


「ママ……?」

「そうなんでしょ?」

「う、うん……」


やっぱりママにはお見通しだったか……


「ちょっと待って? 栞ちゃんに彼氏が出来たの?」


裕子さんが大きな目を更に大きくして言った。


「そうなのよ。栞、裕子さんに話してもいいわよね?」

「うん」

「松本悠馬君っていって、栞のひとつ上の大学生なの。栞と出会ったのは……」


ママは、私と悠馬さんの事、そして今日に至るまでの事を裕子さんに説明してくれた。簡潔で、それでいて正確に。