なんとか切り抜けた。

ホッとしていると、八雲輝が言った。


「そう言えば、龍!愛美ちゃんに渡したい物があるんだよな?」



「ああ」


小野寺龍の顔を見ると、彼は、手を差し出してきた。


「これ、愛美のだろ?朝、起きたらベットの上に置いてあったんだ」


それは、確かに昨日私がつけていた髪飾り。


「ありがとう。小野寺くん」


礼を言って、髪飾りを受け取ると、彼は口に端をあげて、意地悪そうに笑った。


「昨日の夜は、『龍、龍』って俺の名前呼んでたのに、今日は『小野寺くん』なんだ」


しまった!!

万里紗から彼らの呼び方まで教えてもらってなかった!