「分かってるさっ!?」
棗の悲痛な声が響いて胸が苦しい。
俺は自分で作り出したはずの現実にこんなにも自分が傷つくと思わなかった。
俺はあの時……………本当はどうすればよかったんだ??
「駿介、棗。座れ。」
真純が静かに口を開く。
「俺はこれから出掛ける。」
この空気に居たくなくて。
「居ろ。駿介は棗に本物の姿を見せてちゃんと話せ。」
鉛のように真純の言葉が心に圧し掛かる。
「………………本当の姿………??」
ポツリと呟いた棗の言葉に俺はすぐに応える。
「今の姿が俺の本当の姿だ『黒龍の裏切り者』っていう姿がな。」
ぐっと拳を痛いぐらいに握り締める。
「…………嗄綺。」
ピクッと肩が動いてしまった。
「………えっ………??」
「嗄綺、棗にちゃんと話してやれ。棗が苦しんでるぞ。」
苦しんでる??
なぜ、俺が居なくなったのに苦しんでるんだ??
「………真純さん、駿介しか居ないじゃないですか。誰と話してるんです??」
震えた声が3人の居る部屋に溶けていく。
「やめろ、真純。殺すぞ。」
やめてくれ、これ以上は。
もう良いんだ。俺はもう1人で十分だ。
誰も巻き込みたくない。
嫌だ、もう誰かを目の前で失うのは。
誰かを…………俺のせいで殺めてしまうのはっ………。

