通夜にも、火葬にも、葬式にも…… 母は姿を現さなかった。 風夏が香典を預かり持ってきたことで…… 別れた夫に対する情などないのだと……思いこんだ。 けれど、風夏がたびたび持ってきていた夏みかんの……寒天。 親父が柑橘類が好きだと、誰から聞いたのだろうと……些か疑問は残っていた。 そして、親父もまた…… それだけしか口にしなかったのは。 単なる好物だからとは…… 言い切れぬ余談だ。