今日で3月も終わり、明日から新年度が始まる3月31日。
1日有休をもらい、蒼太の保育園の参加保育に来ていた。
担任の綾瀬先生から今日の1日の流れを聞くために、俺は職員室にあるソファに座っていた。
「参加保育に来て頂けて良かったです。ありがとうございます」
綾瀬先生はそう言って頭を下げると、向かいのソファに座った。
「いえ……」
「これをお渡ししときますね」
綾瀬先生がテーブルの上に置いたのは、保育園の先生達が首からぶら下げている名札だった。
その名札を見ると“みやませんせい”と書いてある。
「それを首からぶら下げて下さいね」
「あ、はい」
俺は名札を首からぶら下げた。
普段、学校でもぶら下げているので別に違和感もなく抵抗もない。
ただ……。
「あの、蒼太とは、その名字が違うのですが、その辺は大丈夫なのでしょうか?」
蒼太の名字は綾菜の名字だから森本。
好奇心旺盛な園児達に何か聞かれないのかと心配になった。