「親戚のお子さんですか?」
校長がそう言ってきた。
「はい。4歳の男の子なんですが、家庭が複雑でして……。親戚会議をしたのですが、みんなそれぞれ家庭もあるので預かるのは難しいと。このままだったら施設に預けることになるとのことで……。で、独身で身軽である自分に白羽の矢が立って、面倒を見ることになりました」
周りがザワザワし始める。
「その子は今?」
「保育園にいます。もしかしたら、何かあって保育園から電話があるかもしれません。行事などで休むこともあるかもしれません。そのことで先生方にご迷惑をかけることがあるかもしれませんが、そういうことなので宜しくお願いします」
「わかりました。で、期間は?」
期間……。
そこまで何も考えてなかった……。
「期間は……えっと、期間は……わかりません……」
「そうですか……」
校長はそう言って、少し困った顔をしていた。
「すみません……」
俺はそう言って頭を下げて椅子に座った。