【先生×生徒シリーズ】ある日突然、パパになった俺の物語




俺はメモした材料を次々にカゴに入れて行った。



「パパ!お菓子!」



お菓子売り場の横を通った時、蒼太はそう言ってカートのドアを開けようとする。



「えっ?」


「お菓子、ほしい!」


「ちょ、ちょっと待て!」



俺はドアを開けられないように手でドアを押さえて、蒼太の目線に合わせてしゃがんだ。



「お菓子……」



少し悲しそうな顔をして呟くようにそう言う蒼太。



「お菓子、欲しいのか?」


「うん」



こんな時、母親ならどう言うんだろう……。


俺が小さい時、お菓子が欲しいとワガママ言ったらお袋は何て言ってたかな……。


……って、そんなこと思い出せるわけもなく。



「ひとつだけだからな」



俺はそう言って、カートのドアを開け、蒼太をカートから降ろした。


お菓子売り場に走って行く蒼太。


その後ろをついて行く俺。


蒼太は、お菓子の陳列棚を見て笑顔を見せる。



「どれがいいんだ?」


「うーんとねぇ……。これ!」



陳列棚の前にしゃがみ込んで、しばらく考えていた蒼太はお菓子を手に取って俺に見せてきた。


ラムネの瓶の形をしたプラスチック容器に入ったラムネ菓子。


懐かしいな。


俺も小さい頃に食べたなぁ……。


ラムネ菓子を手に持ってニコニコ顔の蒼太をカートに乗せた。



「開けたらダメだぞ?」


「はーい!」



蒼太は手を上げて、元気よく返事をした。