「先生、お買い物ですか?てか、この子は……」
今井はカートに乗っている蒼太の前にしゃがんだ。
「あ、えっと……えーっと……親戚の子を預かってて……」
俺はそう言って作り笑いをした。
「そうなんですね」
顔を上げてそう言う今井。
すぐに蒼太の方に向く。
「そう、そうなんだよ」
でも……。
「違う!パパだよ!」
蒼太はそう言って、今井にキラキラした笑顔を見せた。
…………あぁ。
もうダメだ。
俺は手で顔を覆った。
子供って何でバカ正直なんだよ。
4月の新学期には学校中に噂が広がって、とんでもない方向に行ってしまうんだ……。
もうこれで俺の教師人生終わりだよ。
「先生、結婚してたんですね」
今井はそう言って立ち上がる。
「いや、独身です……」
「じゃあ、バツイチとか?」
「戸籍は綺麗なままです……」
「いろいろと複雑な事情があるんですね。私はこれ以上、何も聞きませんし、今日ここであったことは誰にも言わないので安心して下さい」
「うん、ありがとう……」
俺は今井にそう言ってニコリと笑ったけど、今井はいまだに無表情のままだった。
今時の女子高生にしては冷めてるよな……。
普通、教師のこんな姿見たら騒ぐはずなのに。
まぁ、逆にその冷めた性格がありがたかったりするんだけどな。



