「蒼太?晩ご飯、何が食べたい?」



帰りの車の中。


窓から見える景色を助手席の窓に張り付くようにして見ていた蒼太にそう聞いた。



「うーんとねぇ……」



蒼太はこっちを見て、そう言いながら考えてる。


頼むから簡単に出来るものにしてくれ。



「ハンバーグ!」



俺の希望は砕かれた。


ハンバーグ、ですか……。



「他には?」


「うーんと……。ハンバーグ!」



やっぱりハンバーグか!



「わかった。ハンバーグな」


「うん!」



蒼太は大きく頷き、大きな声で返事をする。


冷蔵庫の中、空っぽだ。


買い物に行かなきゃ。


でも生徒や保護者に会ったら嫌だな。


1人ならいいけど、子供と一緒のところなんて見られたくない。


面倒だけど、少し遠くのスーパーに行くか。