「……パパ!」
子供が突然、そう言ってニコッと笑った。
ん?
パパが迎えに来たのか?
そりゃそうだよな。
朝の5時半に子供がいなくなったら親だって必死になって探すだろう。
こっちは迷惑してんだ。
ジャージのズボンの裾を持たれたまま、俺は玄関の外に顔を覗かして見た。
パパに会ったら文句のひとつも言ってやらない、と、な……。
……って、あれ?
マンションの廊下には誰もいなくて……。
「なぁ、ボク?パパなんて……」
「パパ!」
子供は俺の顔を見て、クリクリした目をパチクリさせて笑顔でそう言った。
「は、い?」
「パパ!」
ジャージのズボンを掴んでいた子供はそう言って俺の足に抱き付いてくる。
「パパ!」
「いやいや、僕は君のパパじゃないから、ね?」
そう言いながら子供を離そうとするけど、こんな小さなガキのどこにこんな力があるんだよ!と言いたくなるような力で俺の足に抱きついたまま離れようとしない。
えーーー!!!
どーすんの、これ!?



