【先生×生徒シリーズ】ある日突然、パパになった俺の物語




女同士や彼女連れならオシャレなカフェで食事するんだろうけど。


男同士でオシャレなカフェに入っても浮きそうな感じだし、結局、フードコートで牛丼を注文した。



「なぁ、綾菜ちゃんと会ってねぇの?」



尊が牛丼に紅ショウガを乗せながらそう聞いてきた。


って、コイツ、どんだけ紅ショウガ乗せるんだよ。



「はっ?何だよ、いきなり。てか、紅ショウガ乗せすぎだろ」



俺は尊から紅ショウガの容器を取って、自分の牛丼に乗せる。



「紅ショウガたっぷりが上手いんだって!」



尊はそう言って、牛丼の具が見えないくらい乗せられた紅ショウガたっぷりの牛丼を食べ始める。



「で、どうなのよ?」


「何が?」


「綾菜ちゃん、会ってんの?」


「会ってるわけねぇじゃん」



今朝、電話では話したけど。


5年ぶりに。



「別れてから1度も?」


「あぁ、1度も」



俺も牛丼を食べ始める。



「由斗(ヨシト)から聞いたんだけどさぁ」


「何を?」



由斗は同じく大学時代の仲間の1人。



「綾菜ちゃん、子供がいるらしいぜ」



食べていた牛丼を吹きそうになった。



「別にいてもおかしくないだろ?結婚したんじゃねぇの?」



俺は冷静にそう言った。


その子供は今俺のところにいる、なんて言えるわけねぇ。



「いや、それが、違うんだよ」


「はっ?」


「由斗が見たんだって。綾菜ちゃんが4、5歳くらいの男の子を連れてるのを。声をかけようと思ったけど、かけれなかったらしいんだけど、でも間違いなく綾菜ちゃんだったって。4、5歳の子って、綾菜ちゃんがちょうど留学するって大学を辞めたのと、お前と別れた時期と重なるんだよねぇ」


「そうだな」



俺は黙々と牛丼を食べ続ける。



「晴翔、気にならねぇの?」


「別に?何で俺が気にしないといけねぇの?綾菜とは別れてるんだから、綾菜が何しようと俺には関係ないし」


「だって、綾菜ちゃんが連れてた子供って、お前の子供の可能性もあるわけだろ?」


「…………うっ」



飲んでいた水が気管に入りそうになった。