車のトランクにチャイルドシートのデカイ箱を押入れ、店内に戻った。
店内に戻ったからと言って、別に目的があるわけでもない。
とりあえずタバコ吸いに行くか。
トイレの入口付近にある喫煙ルームへ行く。
喫煙ルームに入った時……。
「あれ?晴翔じゃね?」
先に喫煙ルームにいた人がそう言ってきた。
えっ?誰?
俺はその人の顔をジーっと見る。
「あっ……」
「やっぱ晴翔じゃん!お前、こんなとこで何してんだよ?」
笑顔でそう言ったのは、大学時代の友達の尊(ミコト)だった。
空中 尊(ソラナカ ミコト)
大学時代に特別仲が良かったわけではなく、いつも連んでいたグループのメンバーの1人。
尊に会うのは1年ぶりくらいか?
「久しぶりだな」
俺はそう言って、タバコを咥えて火をつけた。
「お前、平日の昼間に何してんだよ?サボり?」
「ちげーよ」
「もしかして、JKに手を出してクビになったか?」
「……なわけねぇだろ?いろいろと事情があってな、今日は休んだんだよ」
「ふーん」
尊は煙を吐き出す。
「お前こそ何してんだよ?JCに手を出してクビになったか?」
尊は中学校で教師をしている。
「ガキに手を出してどうすんだよ。今日は代休」
「そっか」
俺は天井に向かって煙を吐き出した。



