帰って来たら、疲れがドッと出た。
ダンボール箱に入った荷物、床に転がったオモチャを片付ける気にもなれないくらい。
母親は凄いな……。
子供の世話をして、仕事して、家事をして。
俺なんて半日でヘトヘトなのに、綾菜はこれを4年間も続けてきたんだな。
ダイニングテーブルの上に置いた封筒の中身を出す。
沢山の書類。
綾菜が保育園に提出した書類でいいんじゃねぇの?
と、思ったけど、保育者が俺に変わったから新たに書類が必要なのかもしれない。
生まれた時から一緒にいるならいいけど、いきなり“アナタの子です”と言われた俺には子供のことなんて全くわかんねぇのに……。
かかりつけ医とか、家での様子とか、心配事とか、気を付けて欲しいことなんかわかるかよ。
あぁ、めんどくせぇ。
でも書かなきゃいけねぇし。
俺はパソコンデスクに置いてあるペン立てからボールペンを取り、ダイニングテーブルの椅子に座って書類を書き始める。
静かな部屋にボールペンを走らせる音だけが響く。