【先生×生徒シリーズ】ある日突然、パパになった俺の物語





「今日は代休で……」


「そうですか」



嘘をついた。


綾菜は保育園側に引越しするために蒼太の育児が出来ないと言っていた。


でも本当は、今日、アパートの玄関前に蒼太がいた。


綾菜は蒼太がいたら自由に出来ないと言っていた。


もう育児はしたくないような言い方で。


それを保育園側に話すことは出来なかった。



「あの、綾菜……いや、蒼太の母親は引越しすると言ってましたが、どこに引越しするとか、事情とか聞いてませんか?」



少しでも綾菜の居場所がわかれば……。


本当のことがわかれば……。



「蒼太くんのお母様からは何も聞いてないのですか?」



園長先生は驚いた顔をしてそう言ってきた。



「あ、いや……えっと……その引越しは聞いてますが、場所とか事情は何も聞いてなくて……聞いたんですが、何も教えてくれなかったんです……」



危ねぇ。


聞いてないと言えば、綾菜が保育園側に嘘をついてるのがバレてしまう。