「その人、凄くイケメンなんですけど、見た目は冷たい感じがするんですが、でも実はとても優しくて……」
聞きたくない。
今井の好きなヤツの話なんて聞きたくない。
やめろ、やめてくれ!
「その人、独身なんですが、ある日突然、パパになったんです」
「えっ?」
「元カノさんが産んだ子供らしくて、その人に似ていて、とっても可愛い男の子で……」
「ま、待って!」
俺がそう言っても今井は話すのをやめようとしない。
「その人、私にハンバーグの作り方を聞いてきたりして、慣れない育児して、頑張ってパパをしてたんですが……」
その人って、まさか……。
今井の好きな人って、まさか……。
「ある時、元カノさんから子供を返して欲しいと言われて、悩んで悩んで、その人は子供を元カノさんに返すことにしたんです……。クリスマスイブの日に最後の家族の時間を過ごしたんですが、その人、泣いてました……子供を手放したくなかったって……。ねぇ、先生?どうしたら、その人を元気付けてあげれますか?」
「今井……」
俺は今井を見た。
今井は相変わらず無表情で俺を見てる。
目が合い、ドキドキして……。
気付くと、俺は今井の手を引っ張って、ギュッと強く抱きしめていたんだ。



