「パパ……」
蒼太が少しだけ寂しそうな声で俺を呼んだ。
「ん?」
「パパ……」
俺は蒼太をギュッと強く抱きしめた。
そして、蒼太の体を離す。
「パパ……」
「ママが待ってるから、行きなさい」
「…………うん」
俺は蒼太の背中を軽く押した。
「パパ!バイバイ!」
蒼太はそう行って笑顔で手を振る。
俺も蒼太に笑顔で手を振った。
綾菜の側に戻った蒼太は綾菜と手を繋ぎ、歩き出した。
もう、こちらを振り向くことなく。
「バイバイ、蒼太……」
俺は呟くようにそう言って、再び綾菜と蒼太に背を向け、駐車場に向かって歩き始めた。