「蒼太の荷物、今年中には送れると思う」
「うん……」
「なぁ、綾菜?」
「ん?」
「また、いつか蒼太に会わせて欲しい……」
「…………ゴメン」
綾菜の答えはわかっていた。
それに蒼太にも会えないのもわかっていた。
綾菜は俺と家族になるのを望んでいたのに、それを拒否したのは俺だ。
なのに蒼太にだけ会わせてくれなんて都合が良すぎるよな。
でも、ほんの少しだけ期待していた自分がいたんだ。
「ゴメンな……」
俺が謝ると綾菜は首を左右に振った。
「じゃあ、帰るね……」
「あぁ」
綾菜と蒼太は俺に背を向けた。
俺も綾菜と蒼太に背を向ける。
一歩踏み出す。
その時……。
「パパ!」
後ろから蒼太の声がして、振り返る。
蒼太が俺に向かって走って来た。