『もしもし』


「綾菜?俺……」


『うん……』



綾菜に電話して、こんなに緊張したことあったかな。


スマホを握る手に汗をかき、スマホが滑り落ちそうになる。



「蒼太のことなんだけど……」


『うん……』



あぁ、話さなきゃ。


綾菜に話さなきゃいけないんだ。


でも、これを言ったら、もう、終わりなんだよな……。


蒼太との生活も終わってしまうんだよな……。



『晴翔?』


「えっ?あ、ゴメン……」


『ううん』



俺は息を吐き出した。


そして……。



「…………蒼太を綾菜に、返すよ」