話を聞き終わったあと、お姉さんは信じられない顔をしていた。
「うちは、ご存知だと思いますが、父親は海外に行って年に数回しか帰って来ません。母親はあの子が小学生の時に家を出て行ったきりで……。父親との離婚は成立していて、今はどこで何をしてるのかわならない状態で……。兄は県外の大学に行ってそのまま就職して結婚してます。実家に帰ることは父親と同じで年に数回しかありません……」
「えぇ……」
「母親が出て行った時に、まだ赤ちゃんだった香音と空斗をどうするかってなった時に、兄はすでに県外の大学に行ってたので世話が出来るはずもなく。父親も海外だったので無理で……。それで私が世話をすると言ったんですが、香恋が私が世話をすると……」
「えぇ……」
俺は相槌を打つだけで何も言えなかった。
「私も兄も父も、それに甘えてしまったんです……」
そう言った、今井のお姉さんの目には涙が溜まっていた。
「小中高と、楽しい時期を妹と弟の面倒に追われて、辛い思いをさせてしまったと思うと……」
今井のお姉さんは涙をポロポロ零しながらそう言った。
「私、ここに帰って来ようと思ってます。勤務先もここから近いとこにしたんです。次は私が香音と空斗の面倒を見て、あの子には夢を叶えてもらいたいんです」
「夢?」
今井の夢って、なんだろう……。



