「あの子、何も言わないから知らなくて……」
「そうだったんですね」
「多分、あの子なりに家族に気を遣い、迷惑かけたくないと思ってるんだと思います……」
「えぇ……」
俺はそう相槌を打つと、コーヒーをブラックのまま一口飲んだ。
だから三者面談のプリントを捨てていたって事なのか?
迷惑かけたくないから?
今井らしいと言えば、今井らしいけど……。
「先生?」
「はい」
「高3の三者面談って大切なものだと思うんです」
「えぇ、まぁ……」
進学や就職を決める大事な学年なだけに、三者面談は大切なのは間違いない。
「香恋は、進路をどうするのか聞いてませんか?」
「えっ?」
今井はお姉さんに何も話してないのか?
「聞いても話をはぐらかされてしまって……」
「そうですか……実はですね……」
俺は、蒼太の誕生日の時に、今井が話してくれたことを今井のお姉さんに話した。
進学も就職もしないことを。



