俺はスマホを見つめたままボーとしていた。


別人だ……。


あれは俺の知ってる綾菜じゃない。



「パパ?」


「ん?」



蒼太の方を見ると、心配そうな顔でジッとこっちを見ている。


俺は蒼太に苦笑いしか送ることが出来ない。



「パパ?いたい、いたいの?」



蒼太はそう言って、俺の頭に手を伸ばそうとする。


てか、蒼太は平気なのか?


母親がいなくて……。


そう言えば、コイツ、玄関で泣きそうになっただけで、それから泣いてない。


普通、知らない場所に一人で連れて来られたら子供って泣くもんじゃないのか?


母親もいないし。


綾菜のこと恋しくないのか?


しかも俺のこと、躊躇することなく“パパ”と呼んでるし……。