土曜日の昼間のカフェは、この前より混んでいた。
綾菜と話した時と、人気のない隅っこの席。
そこに座り、店員に2人が後から来ることを伝えて、注文を待ってもらった。
約束の時間まで、あと10分。
綾菜の男は、どんなヤツなんだろう……。
そんなことを考えていると、カフェに入って来た2人の男女が目に入って来た。
綾菜と、その男だ。
綾菜は周りをキョロキョロ見て、俺を見つけると、こちらにゆっくり歩いて来た。
俺は椅子から立ち上がる。
綾菜は少し俯いていて、男は堂々と前を真っ直ぐ見ていた。
スーツを着て、メガネをかけ、エリートっぽいようなインテリっぽい男。
「お忙しいところ、申し訳ありません。初めまして深山です」
俺は軽く会釈をした。
でも男は俺をチラッと見ると、何も言わずに椅子に座った。
なんかイライラしてるような……。
俺も椅子に座り、最後に綾菜も椅子に座った。
注文を取りに来た店員にアイスコーヒーを3つ注文した。
「綾菜、友達が男なんて聞いてないけど?」
穏やかな口調ではあるけど、どことなく冷たい言い方。
綾菜は、この男に何て言って連れ出したんだろう……。