「なぁ、綾菜?」
「ん?」
「ひとつだけ聞いてもいいか?」
「何?」
どうしてもわからなかったこと。
それは……。
「蒼太が初めて俺のことに来た日、何も躊躇することなく俺をパパって呼んだんだ」
4年も一緒に暮らしてなかった自分の子供。
正確には自分の子供がいたことなんて知らなかった。
4歳の子が初対面の男をパパと呼び、その日から、まるで産まれた時から一緒にいたかのように暮らしている。
泣くことも、ママを恋しがることもない。
夜泣きで“ママ”と言ったことはあったし、喧嘩した時も“ママ”と言って泣いたけど。
「晴翔の写真をずっと見せてたの。この人がパパだよって……」
「そうなんだ……」
だから蒼太は、俺のことを……。