『疑ってんでしょ?』
「だから……」
『そんなに疑うならDNA鑑定でも何でもすればいいでしょ?』
「そんなこと言ってねぇだろ?」
『じゃー何?』
「いきなりアンタの子だって言われて、誰が信じるんだよ!」
『だからDNA鑑定でも何でもしろって、さっき言ったじゃん!』
俺の口から溜め息が漏れる。
このまま話しても無駄だと思った。
「わかった……。もういいわ……」
『もういい?じゃあ切るから』
「……綾菜?ちょっと待って!」
『何?』
最後に、ひとつだけ聞かせてくれ。
「あのさ、子供を手放して本当にいいのか?」
『はぁ?』
「自分の子だろ?お前、母親だろ?それで本当にいいのか?」
綾菜が何て答えるのかわからなかった。
でも、少しだけ綾菜の答えに期待している自分がいた。