門を出て、辺りを見渡す。
でも、綾菜の姿はなくて……。
どっちの方向に行ったんだよ。
とりあえず駅の方に向かって行ってみるか。
俺は駅の方に向かって走り出す。
保育園から大通りに出て、そこで再び辺りを見渡すと……。
駅に向かって歩いている1人の女性の後ろ姿が目に入った。
5年も会っていない元カノ。
でも後ろ姿を見ただけで、それが綾菜だとわかった。
「綾菜!」
俺は女性の背中に声をかける。
肩をビクンと揺らして、立ち止まる女性。
ゆっくりとこちらに振り向く。
胸がドクドクと激しく脈打っていた。
「綾菜……」
「晴翔……」
5年前と変わらない綾菜がそこにいて……。
でも少しだけ疲れたような顔をしていた。