呼び出し音が鳴ってる間、俺の緊張感はピークになっていた。


出ないでくれ……いや、出てくれ……。


そんな思いが込み上げてくる。



『はい……』



出たーーーー!!


5年間、綾菜と離れていても声を聞いて綾菜だとわかった。



『もしもし?』


「あ、あの……」


『……えっ?』



俺の声を聞いて、綾菜が小さくそう呟いた。



「……綾菜?」


『…………』


「久しぶり、だな」


『…………』



何も話そうとしない綾菜。


もしかしたら電話を切られるかもしれない。


本題に入らないとヤバいな。