【先生×生徒シリーズ】ある日突然、パパになった俺の物語




昼休み。


いつもの校舎裏に行き、段になっているところに座ると同時に溜息が漏れた。


保育園に行く途中でコンビニに寄り、おにぎりを買って蒼太に持たせた。


綾瀬先生には事情を説明して、わかってもらえたけど……。



「先生、大丈夫ですか?」



顔を上げると、今井が前に立っていた。



「あ?あぁ……」


「何かありました?」



今井はそう言って、やっぱり微妙な距離を置いて座る。



「今日、保育園で弁当がいるの知ってた?」


「はい」



そうだろうな。


今井が忘れるわけねぇか。



「俺、すっかり忘れてて、コンビニのおにぎり持たせちゃったんだよな……」



後ろに手をついて、そう言って空を見上げた。



「そうですか」



今井はそう言っただけで、別に俺を責めたり笑ったりしない。



「なんか疲れちゃったよ」



そう言って笑ってみせたけど、無表情のままでこちらを見ると弁当を食べ始めた今井。


その時、職員室から電話がかかってきたという放送が流れた。