「先生、そろそろ帰ります」



晩ご飯の後片付けが終わった後、今井はそう言ってカバンを持った。



「送って行くよ」


「いえ、大丈夫です」



やっぱり今井は断ってくる。



「夜も遅いから。遠慮しなくていい」


「遠慮はしてません。ただ、先生は今日は体調を崩して休まれてたので……」


「それは、ただの寝不足で昼間に寝たらスッキリしたから大丈夫」



俺はそう言って、スマホとキーケースを持った。



「蒼太?香音ちゃんと空斗くんを送って行こうか?」



俺は側にいた蒼太にそう言った。


蒼太は嬉しそうな顔をしてる。


今井の妹と弟も嬉しそうな顔をして蒼太の手を取って、3人ではしゃいでいた。


今井は諦めたのか何も言わない。


玄関を出て、鍵を閉めたあと、俺の持っていたスマホがブルブルと震えだした。


画面を見る。


…………えっ?


何で?


画面に表示された名前を見て、俺は固まってしまったんだ。