その時、玄関のチャイムが鳴った。
誰だ?
リビングのドアの側にあるインターホンを取った。
「はい」
『あ、あの……今井、です……』
「えっ?」
インターホン越しから聞こえてきた今井の声。
胸がトクンと鳴った。
何で今井が?
『先生?』
「…………あ、ゴメン。今開けるから」
俺はそう言ってインターホンを切り、玄関に行った。
玄関のドアを開けると、制服姿の今井が立っていた。
その隣には妹と弟。
手にはスーパーの袋。
「今井……」
「突然、すみません……。今日、学校をお休みしてたし、蒼太くんも保育園をお休みしてたみたいだったので……体調でも崩してるんじゃないかと思いまして……」
「あー……蒼太じゃなく、俺がね……」
俺は苦笑いしながならそう言うと、今井は少し驚いた表情を見せた。
「そうでしたか……。あの、これ……つまらないものですが、食べて下さい……」
今井はそう言ってスーパーの袋を差し出した。
「あ、うん……ありがとう……」
スーパーの袋を受け取る。
「では、私はこれで失礼します」
今井はそう言って頭を下げた。
「待って!」
妹と弟の手を握り、帰ろうとした今井を俺は呼び止めた。
立ち止まる今井。
「良かったら、お茶でも……」
今井は目を見開いて俺を見ていた。



