再び母子手帳をペラペラと捲り中を見てみる。


妊娠の経過、生まれてからのこと、乳児健診など……。


丁寧に書かれている。


この母子手帳を見てるだけで、綾菜が子供にどんなに愛情を注いでいたかわかる。


なのに何で、いきなり俺のところに置き去りにしたんだ?


そこがわからない。


母子手帳を閉じた。


綾菜に連絡を取りたい。


母子手帳の他に何か綾菜の携帯番号とか書かれているものはないか……。


俺はリュックの中を捜した。


けど、小さなリュック。


リュックから出した物以外の物は何もなくて……。



「はぁ……」



綾菜への連絡手段が何もないとわかった今、俺の口からは溜め息しか出なかった。