カウンターの向こう側では女性警官が蒼太の相手をしてくれている。
さっきまで下を向いていた蒼太は、女性警官と楽しそうに話をしている。
「駅前で蒼太くんが1人でいるところを、会社帰りの女性が保護して、ここまで連れて来てくれたんです」
「そうですか……」
「蒼太くんは、ママのところに行くと言ってたのですが……」
「えっ?」
綾菜のところに?
…………あっ!
俺の頭に昨日のことが浮かんでくる。
ーーそんなにママのところに行きたかったら行けばいい!
だから蒼太は……。
「失礼ですが、そちらの女性は?」
警官が今井をチラリと見た。
「深山先生の生徒です。買い物の帰りに偶然、深山先生に会いまして……先生が慌てた様子だったので話を聞いたら子供さんが家出して探してると。それで私も一緒に探すのを手伝ってました」
今井は警官にそう淡々と話した。
「そうですか。って、深山、さん?あれ?蒼太くんは確か……森本蒼太と名前を……」
「あー……それはですね……」
俺は警官に事情を説明した。
けど、本当のことが言えずに、離婚して蒼太は母親に引き取られ、今は離れて暮らしているけど、母親が仕事で出張に行くことになり、その間、自分が蒼太を預かっていたと嘘をついてしまった。
昨日、些細なことで喧嘩になり、ママと言って泣いた蒼太にママのところに行けばいいと怒鳴ってしまったことも話した。



