「はぁ……」
パンを食べ、カフェオレを飲んだあとに口から出るのは溜息。
「溜息ついてると幸せが逃げていきますよ」
……えっ?
下を向いていた顔を上げると、そこには今井が立っていた。
「いつから、そこに?」
「さっきです」
無表情のままそう言って、俺と微妙な距離を保って座る今井。
「今日は来ないのかと思った」
「来たらダメでした?」
弁当を膝の上に乗せ、弁当を包んであるハンカチを解きながらそう言った。
「別にそんなこと誰も言ってないだろ?」
「そうですか」
蓋を開けた弁当箱。
色とりどりのおかずが目に入ってきて美味そう。
「今井は、いつもここで1人で食ってるのか?」
「そうですけど。まぁ、今は1人ではないですけどね」
今井は俺の方をチラッと見た。
「ゴメン……」
「別に謝る必要ないと思いますけど?ここは私の場所ではないんですから」
「あ、うん……」
俺はそう返事をしてカフェオレを一気に流し込んだ。