園長室のソファに座るように言われて、ソファに座る。
向かいに園長が座った。
「深山さん、お仕事お忙しいみたいで……」
「えぇ、まぁ……」
「お仕事がお忙しいのはわかりますが、もう少し早く迎えに来ること出来ませんか?」
園長はそう言って、メガネをクイッと上げた。
そう出来るものなら俺だってそうしたい。
でも……。
「僕も早目に迎えに行こうとは思ってるのですが、今年度は3年生の担任をしているものですから、何かと忙しくて……。ご迷惑をおかけして本当に申し訳ないと思ってます」
「担任を外してもらうことは出来なかったのですか?」
「はい?それはどういう……」
園長は何を言ってるんだよ。
「担任を持つと、仕事量が増えて忙しくなるのは前もってわかっていたことでは?」
「はぁ……」
「ならば、子供がいるんだから担任を外してもらうことも出来たのではないでしょうか?」
「子供がいるから担任を外して下さいなんてワガママ通りませんよ」
「まぁ、そうですけど……」
さっきまで強気だった園長は、弱々しくそう言って目を伏せた。
「延長保育は19時まで可能ですよね?それは引き続きお願いします。でも明日から19時には迎えに来れるようにはします。蒼太が待ってるので、もういいですか?」
俺はそう言ってソファから立ち上がった。
園長は何も言わなかった。
俺は園長に頭を下げて、園長室をあとにして、蒼太の待つ職員室に急いだ。



