付き合いが長くなればなるほど、俺たちの関係もマンネリしていった。
付き合い始めた頃のドキドキ感もなく、綾菜が側にいるのが当たり前になっていて、冷たい態度を取ることもあった。
それは綾菜は俺から離れないと言う安心感と自惚れがあったから。
ーーねぇ?もし赤ちゃんが出来たらどうする?
ーーえっ?何、いきなり?もしかして出来たのか?
ーーううん、出来てないけど……。どうするか聞いてみただけ。
ーー何だよ、ビックリさせるなよ。
“結婚したら”とか“子供が出来たら”とか、あんな会話していたのが嘘のように、あの頃、子供とか結婚とか全く考えれなくなっていた。
ただ自分の夢に向けて一生懸命で……。
“もし赤ちゃんが……”と言われた時、凄くビビった事を思い出す。
いや、ビビるってよりも“めんどくせぇな”という思いの方が強かったんだと思う。
だから綾菜に否定されて、凄く安心したんだった。



