「おねーちゃんとね、タローのお散歩して来たんだよー!」
「そっか、良かったな。でもな蒼太、あの人は、おねーちゃんじゃなくて叔母さんだからな」
俺は犬小屋の前でタローを鎖に繋いでいる夏美を指差してそう言ったあと、蒼太の頭を撫でた。
「ちょっと!お兄ちゃん!聞こえてるわよ!」
夏美が犬小屋の前で声を張り上げた。
どんだけ地獄耳なんだよ。
「なぁ、晴翔?」
「ん?」
「ちょっと蒼太を抱っこしてもいいか?」
「えっ?……あ、あぁ」
「蒼太?伯父ちゃんのとこにおいで?」
兄貴は俺の膝の上に座っていた蒼太にそう言って、両手を広げた。
不思議そうに兄貴を見る蒼太。
「蒼太、伯父ちゃんに抱っこしてもらいな?」
「うん」
蒼太は俺の膝の上から降りて、兄貴のところに行った。
兄貴は椅子から立つと、蒼太を抱き上げた。
更に手を力いっぱい上に上げた兄貴。
「わぁ!高い!」
蒼太は兄貴を見下ろし、笑顔でそう言った。
兄貴は蒼太を優しい笑顔で見上げていた。
俺は喪服のポケットからスマホを取り出して、カメラモードにして2人の写真を撮った。
撮れた写真を見ると、蒼太も兄貴もキラキラした笑顔をしている。
「可愛いな。お前の小さい頃にソックリだよ」
兄貴はそう言って、蒼太を下ろした。
そんなに似てるのかな?
兄貴に言われて、蒼太が俺の小さい頃に似ていると初めて知った。