「俺と理子には子供がいないからさ。昔のバチが当たったのか、俺に原因があって子供が出来ないんだよね」


「えっ?」


「不妊治療したんだけど、結局ダメでさ。一度だけ俺から離婚を言ったことがあったんだ」


「何で?」


「理子はまだ若いし、俺と離婚して他の男と結婚して、子供を産んで幸せになった方がいいと思ってね。でも理子に叱られたよ。子供が欲しくてアナタと結婚したんじゃないって。それで2人で話し合って、不妊治療をやめて子供のいない生活を選んだってわけ」


「そっか……」


「親父もお袋も孫が欲しいとか何も言わないし、寧ろ理子に優しくしてくれてる。だけど本音はわからない。だから突然だけど孫が出来て嬉しいのかもな」


「うん……」



その時、蒼太と夏美がタローの散歩から帰って来た。



「パパ!」



蒼太が走って来て、俺に抱きついてきた。


そんな蒼太を兄貴は優しい目で見ていた。