「でも、お前が父親になるとはねぇ」
兄貴はそう言って、タバコを咥えたまま空を見上げた。
「なんか変か?」
「うーん、変って言うか、お前はずっと独身で結婚なんてしない、子供なんて持たないと思ってたけどな」
いや、結婚はしてないんだけどね。
「何で?」
「だって似合わないから」
兄貴は俺に目をやり、そう言ってクスッと笑った。
「似合わないって……」
「だって、お前はどちらかと言うと、女遊び激しくて、いらなくなったらポイして、妊娠したなんて言おうものなら金だけ渡して逃げそうな感じじゃん」
「何だよ、それ。俺ってそんなふうに見えるわけ?」
保育園の園長、保護者には夜の仕事してると思われ、血の繋がった兄貴にまでそんなこと言われるとは。
「見えるよ。だって、お前、高校の時そうだったじゃん?何人、女を泣かせたんだよ」
まぁ、確かに高校の時はなぁ……。
でも……。
「兄貴だってそうじゃん」
血は争えないって言うけど、兄貴も高校の時に何人も女を泣かせ、家まで押しかけられ、親父に殴られ、お袋が泣いていたことを俺は知っている。
だから兄貴が結婚するって言った時には青天の霹靂だった。
理子さんに思わず“こんな男で大丈夫?”と言いそうになったくらいだ。



