夕方、親戚が次々に帰って行き、県外や遠くから来た親戚は泊まることになった。
親父は泊まりの親戚連中を連れて飲みに出掛けてしまった。
俺は何となく家の中にいることが出来ず、庭に置いてある椅子に座り、タバコを吸いながらボーとしていた。
蒼太は夏美とタローの散歩に出掛けて行った。
あれだけ怯えた顔をして俺に抱きついていた蒼太は、ほんの数時間で夏美にすっかり懐いてしまった。
「晴翔!」
声のする方に向くと兄貴が笑顔で立っていた。
「飲む?」
兄貴は俺の隣に座ると、テーブルに缶ビールを2本置いた。
「蒼太は?」
「夏美とタローの散歩」
「そっか」
兄貴は缶ビールのプルタブを開け、ビールを一口飲んだ。
「1本もらうよ?」
「あぁ」
兄貴はテーブルに置いていた俺のタバコの箱を取り、1本口に咥えて火をつける。
「タバコ、やめたんじゃなかったっけ?」
確か、正月に帰った時に、やめたと言っていた。
「俺、意思弱いからさぁ。また吸い始めちゃったんよねー。理子にはガミガミ言われるけど」
「ふーん」
人が吸っていると吸いたくなる。
俺もタバコを1本口に咥えて火をつけた。



