「聞いて欲しいの?」


「…………いえ、そういうわけでは……でも、人は他人の不幸話が好きな生き物ですから。先生もそうなのかと」


「じゃあ、逆に今井は、独身のはずの俺が何で蒼太と一緒に暮らしてるのか聞きたい?」


「いえ、興味ありませんからいいです」


「俺も今井と同じだよ」



俺がそう言うと、今井は少し驚いた表情を見せた。



「今井の家に母親がいない理由を知りたくないって言ったら嘘になるけど、人には言いたくないこともあるだろ?だから無理して話そうと思わなくていい」



俺はそう言って、今井に手を伸ばし頭をポンポンとした。


チラリと目をやると、肩をビクンと揺らし、目を見開き俺を見る今井。


そうは言ったけど……。


いつも無表情で冷めた性格しているけど、それは強がりかもしれない。


大人びた感じでも、まだ高校生で俺から見たら子供だ。


母親がいないことに寂しさを感じ、誰かに話をするこで寂しさを共有して気を紛らわせてるのかもしれないな。