車の後部座席に子供3人、助手席に今井を乗せスーパーに向かって運転していた。


後部座席では、子供達の賑やかな声がするのに対して前の席は通夜のように静かで。


今井は助手席の方を向いて、窓の外をずっと見ていた。



「なぁ、今井?」


「何ですか?」



今井はこちらに向かず、返事をする。



「妹と弟は……」


「年中クラスです。ついでに言うと香音と空斗は二卵性の双子です」


「そっか……」



俺が聞く前に、そう答えた今井。


今井は人の心を読み取る能力でも持っているのか?



「でも保育園の送り迎えは大変だろ?」


「いえ、もう慣れました」


「そうなのか……」


「先生?」



今井が窓の外から、こちらに目を向ける。



「ん?」



俺はチラリと今井を見た。


目が合い、思わず目を逸らしてしまった。



「聞かないんですか?」


「はっ?」


「母親がいない理由」


「えっ?」



いきなりそう言ってきた今井。


しかも無表情で。


なぜ、そんなこと聞いてきたのか意図がわからない。


もしかして俺に聞いて欲しいのか?