でも…………。
「おねーちゃん、一緒に買い物行こ?」
蒼太がそう言って、今井の手をギュッと握り笑顔を見せた。
無表情だった今井の顔は困った顔に変わり、蒼太を見ていた。
「こらこら、おねーちゃん、困ってるから」
俺は蒼太を今井から離した。
「ゴメンな」
そして苦笑いして、今井にそう謝る。
「やだ!一緒に行くの!」
「蒼太、ワガママ言わないでくれ。なっ?お菓子買ってやるから」
「やだーー!」
叫ぶ蒼太。
周りからの目線が痛い。
今井の妹と弟が蒼太の側に寄ってきて頭を撫でてくれる。
「先生?」
「ん?」
「乗せて下さい」
「えっ?」
「車に乗せて下さい。買い物、一緒に行きましょう。蒼太くんがせっかく誘ってくれたので」
「あ、う、うん……」
こっちから誘ったのに、戸惑ってる俺。
俺の誘いは速攻断ったのに、蒼太の誘いは受け入れた今井。
なんか、ちょっと嫉妬してる俺がいて。
子供に嫉妬してどうすんだよ。
そんな俺の横で蒼太と今井の妹と弟は手を上げて大喜びしていた。