Side美紀


「今ではあそこでいじけて止めた俺もいけないって思ってる。でも剣道以外の俺も見て欲しかった。違う俺も見て欲しかった。」


奏くんのどこか辛そうな顔。


頑張ったね。


「見てるよ。私は見てる。いろんな奏くんを私は見てるから。」


私は移動して奏くんの横に座る。


「人一倍頑張り屋さんで、実は野菜が苦手なことも知ってるから。」


「....っ。」


野菜って言葉で顔を歪ませる奏くん。


いつも女子みたいにグリンピースを分けてることを私は知っているのよ。


「ありがとう。話してくれて。」


私は奏くんににっこりと微笑む。


「俺もお前に話してよかった。ありがとう。」


「うん!!」


奏くんの優しい笑顔。


ずっとむすってしてたその顔からやっと笑顔が見れた。


幸せだ。