Side美紀




「僕は捨てられたんだ。」


翔太くんの辛そうな表情。

今にも泣きそうな翔太くんを見てられなくて私は動く。


「....美紀?」


「泣きなさい!!もう翔太くんは泣いていいの!!」


私は寝ている翔太くんに覆い被さる形で抱き締める。


「翔太くんは一人じゃないよ。私がいるじゃん。泣きたいなら泣いて。」


翔太くんの表情は抱き締めてるからよく見えない。


だけど....


「ありがとう。」


震える翔太くんの声。


きっと泣いてるんだね。


「僕を捨てたくせに最近、お父様が帰って来てほしいなんて言うから僕....。」


翔太くんが私の腰に手を回す。


「今さらなんだよってもう頭パンパンで...。」


震える翔太くんを強く強く抱き締める。


「ごめんね。」


「え?」


私は翔太くんがなんで私に謝るのか意味がわからなくて首をかしげる。


「美紀のこと吹っ飛ばした、ひどいこと言った。言い訳になるかもしれないけどあのときお父様から帰って来てほしいって言われてて....」


翔太くんの腕に力が入る。