それでもお母様が大好きだった。


だから笑った。

たくさんの習い事だってこなした。


お母様に愛されたくて。


「アンタなんか嫌いよ!!アンタなんか!!」


お母様が大きく手をあげる。


バシンッ


「......っ。」


お母様に殴られて倒れる僕。


僕を殴ったお母様は倒れた僕を睨むとささっとその場を離れる。


「翔太様....。」


そんな僕を哀れむような瞳で見る使用人たち。


使用人たちはいつも見ているだけ。

助けてなんてくれない。


声すらかけない。


お母様がみんな怖いんだ。


みんな。


それでもよかった。

助けなんていらなかった。


僕はかわいそうじゃないから。

お母様はひどくないから。


だから大丈夫だって笑うんだ。


僕は大丈夫だって。


お母様は何も悪くないって。