「ZEROのこととその子たちのこと。」


「.....。」


吉香さんの真剣な表情。

私も真剣な表情で吉香さんの話を聞く。


「ZEROのメンバーわね、みんな親や親戚に捨てられているのよ。そんな彼らを拾ったのが私。そしてZEROというアイドルグループを作ったのも私。」


みんなの辛い過去。

親や親戚に捨てられた。


それはとても辛いことだ。


「一つは彼らを見つけて欲しい。彼らを捨てた親たちが彼らを見つけて帰れるように。もう一つは見返してやるために、ね?」


それがZEROというアイドルグループを作った理由よ、と言ってお茶を飲む吉香さん。


そんな意味があったんだ。


私は吉香さんを見つめ続ける。


「でね、今日ここに来た理由は翔ちゃんの親のことなんだけど....」


「あっ、その電話ならさっき来ました。」


そうなの、と呟いてどこか遠くの方を見つめる吉香さん。



「翔ちゃんはどちらを選ぶのだろうね?」



吉香さんはそう呟くとソファーから立つ。

そして玄関に向かって歩き出す。