咲は決して暗い場所は選ばない。


「前に言ったよね?アンタにはここは似合わないって。」


咲は怒りのこもった声で続ける。


「最近来なくなったと思ったのに。やっと心から笑ってたのに。どうしてここに戻ってくるの?ここはアンタの居場所じゃない。アンタの居場所は他にあるはずでしょ?」


最後には苦しそうに顔を歪めている咲。


咲は本当にいい人だ。

いつも私のことを考えてくれている。


でも、私は咲が心配なんてしなくて良いほど最低な女だよ?


咲ならきっと知っている。

私がここへ来る最低な理由を。


「私は汚い。誰の幸せも願えない。一人になりたい。一人になりたくない。」


下を向いたまま喋り続ける私。

咲の顔が見れない。


「ここに来るのは幸せになれない人。その人たちなら一緒いて居心地がいいの。一人って感じがしないの。人の不幸を利用してる私は最低でしょ?」


私は最低なの。

みんなが私と違ったことが嬉しいはずなのに一人になった気がして寂しくて。


「確かにここはそんな弱いヤツが集まる場所だよ。でも美紀にはその弱さを埋めてくれる人がいるんじゃないの?」


咲の真剣な声が私の胸をさす。


もうどうしていいかわからない。

何が正しいのかわからない。


助けてよ。